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2022.9.24  インボイス発行事業者への登録申請、小規模事業者ほど遅れ目立つ

来年10月から導入される消費税の「インボイス制度」だが、日本商工会議所の消費税インボイス制度に関する実態調査結果によると、制度適用に必要な適格請求書(インボイス)発行事業者の登録申請を行った事業者はわずか1割となっていることが明らかになりました。この実態調査は、同所の各地商工会議所会員企業に今年5月23日から6月23日までの期間にヒアリング調査(回答事業者数3771者)を実施して取りまとめたものです。


 調査結果では、インボイス制度導入に向けての準備状況を尋ねると、特段の準備を行っていない事業者の割合が全体の42.2%と昨年同時期の調査(59.9%)から減少してはいるものの4割を超えていて、売上高1千万円以下の事業者では60.5%にものぼり、小規模な事業者ほど準備が進んでいない実態がわかりました。

 また、国税庁への適格請求書発行事業者の登録申請状況では、「登録申請した」と回答した事業者は10.5%と1割のみ。特に売上高1千万円以下の事業者では僅か1.6%足らずで、申請する予定を含めても13%程度。その他では、「取引先から要請があれば検討する」が24.7%、「登録申請は行わない」が23.9%、「制度内容を理解しておらず、検討していない」が21.2%となっていて、全体の半数近くが自主的には申請は行わないようです。

 今後の申請にも大きく左右する制度導入に向けた課題(複数回答)については、最も多いのが「制度が複雑でよく分からない」の47.2%で、以下、「発行する請求書等の様式変更」35.5%、「仕入先がインボイス発行事業者かの確認」26%、「システムの入替・改修コスト」17.9%、「消費税を納税しなければならなくなる」12.2%などが挙がっている中、「顧問税理士から指導がなく、何をすべきか分からない」との声も5.4%あります。

  一方、インボイス制度導入後の課税事業者の対応予定をみると、約3割の課税事業者が「免税事業者との取引は(一切または一部)行わない」・「経過措置の間は取引を行う」と回答し、免税事業者との取引を見直す意向を示しています。 そのうち、約65%の課税事業者が取引先の免税事業者に対し、「インボイス発行事業者になるよう要請する」としています。

2022.8.24  インボイス導入後は約1割が免税事業者とは「取引しない」

東京商工リサーチが今月1日~9日にかけて実施した「インボイス制度」についての企業向けアンケート調査(回答数6441社)によると、インボイス制度の認知は高まっているものの、その準備や対応はまだ鈍い状況となっていることが明らかになりました。


 消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)導入となる来年10月までまもなく1年。制度導入により消費税の申告・納税が必要となる課税事業者がインボイス発行事業者になると、売上先は仕入税額を控除できますが、免税事業者のままだとインボイスを発行できず売上先は仕入税額を控除できなくなるため、制度導入により取引状況が大きく見直されることが懸念されています。

 調査結果をみると、インボイス制度について「知らない」との回答は7.5%足らずで、「よく知っている」19.5%、「大体知っている」49%に、「少し知っている」の23.4%を合わせた9割以上が「知っている」と回答しています。なお、「知らない」を規模別でみると、「大企業」が6.2%、資本金1億円未満(個人企業等を含む)の「中小企業」が7.7%とさほど違いがありません。

 インボイス制度の導入後、免税事業者との取引に関しては、「これまで通り」が41.2%となっている一方、全体の1割近くとなる9.8%は「免税事業者とは取引しない」と回答し取引を中止するとしているほか、「取引価格を引き下げる」との回答も2.1%ありました。また、まだ46.7%が「検討中」としており、半数近くが取引方針を決めかねているようです。

 なお、これまで通りの取引を行うと回答した企業を規模別でみると、「大企業」が38.3%、中小企業が41.7%で中小企業の報の割合が高くなっています。

2022.8.3  課長相当職以上の「女性管理職割合」は12.3%

厚生労働省が常用労働者10人以上の企業を対象に実施した「令和3年度雇用均等基本調査」の「企業調査」結果(有効回答数3538社)によると、正社員に占める女性の割合は27.4%と、令和2年度より0.2ポイント上昇と、ほぼ横ばいだったことが分かりました。これを職種別にみると、「総合職」20.7%、「限定総合職」34.0%、「一般職」33.9%、「その他」30.4%となっています。


 また、令和3年春卒業の新規学卒者を採用した企業割合は21.3%と、令和2年度に比べ0.7ポイント上昇。このうち、「男女とも採用」した企業が43.1%と最も多くなりました。採用した企業について採用区分ごとにみると、総合職については「男女とも採用」した企業が45.2%と、前回調査に比べ、1.3ポイント低下。一方、「男性のみ採用」した企業割合は41.8%と、前回調査に比べ、1.8ポイント上昇しました。

 女性管理職を有する企業割合をみると、「課長相当職以上の女性管理職(役員を含む)」を有する企業割合は53.2%(令和2年度52.8%)、「係長相当職以上の女性管理職」は61.1%(同61.1%)。また、「係長相当職以上の女性管理職」を有する企業割合を役職別にみると、「部長相当職」ありの企業は12.1%(同13.1%)、「課長相当職」は20.1%(同20.8%)、「係長相当職」は21.0%(同22.6%)となっています。

 規模別にみると、おおむね規模が大きくなるほど、各管理職の女性を有する企業割合が高くなる傾向にあり、「5000人以上」規模では、「部長相当職の女性管理職」を有する企業が78.7%、「課長相当職の女性管理職」を有する企業が86.0%、「1000~4999」人規模では、「部長相当職の女性管理職」を有する企業が44.0%、「課長相当職の女性管理職」を有する企業が81.7%となっています。

 課長相当職以上の管理職に占める女性の割合(「女性管理職割合」)は12.3%で、前回調査に比べ0.1ポイント低下、係長相当職以上の女性管理職割合は14.5%で、同0.1ポイント低下。それぞれの役職に占める女性の割合は、「役員」では21.4%(令和2年度20.3%)、「部長相当職」では7.8%(同8.4%)、「課長相当職」では10.7%(同10.8%)、「係長相当職」では18.8%(同18.7%)となっています。

2022.7.28  国税庁「電子帳簿保存制度の特設サイト」を開設

経済社会のデジタル化を背景に電子帳簿等の電子データ保存を取り巻く環境が大きく変化する中、国税庁がこのほど「電子帳簿保存制度の特設サイト」をホームページ上に開設しました。電子帳簿保存法は、税務関係帳簿書類のデータ保存を可能とする法律。同法に基づく各種制度を利用することで、経理のデジタル化を図ることができます。

 令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の改正により、帳簿書類を電子保存する際の手続き等が抜本的に見直されました。事前承認制度の廃止、タイムスタンプ要件及び検索機能要件の緩和、適正事務処理要件の廃止、電子取引データ保存の義務化などが行われ、いずれも令和4年1月1日から施行されています。電子データ保存の義務化についてはその後猶予が設けられ、令和6年1月施行となっています。

 特設サイトは、電子帳簿保存法上のデータ保存区分である電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引の3つの区分について、概要や改正事項について詳しく解説。このうち電子取引関係については、電子データ保存義務化の施行時期見直しに配慮し、令和5年12月31日までに行う電子取引については、保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば差し支えない旨(事前申請等は不要)を強調するとともに、令和6年1月からは保存要件に従った電子データの保存が必要となるとして、所得税法・法人税法上の保存義務者に向けて、そのために必要な準備を呼びかけています。

2022.6.22 NISAを抜本的に拡充

政府は、NISA(少額投資非課税制度)を抜本的に拡充する。7日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)と「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」に記載されました。

 我が国の個人金融資産2千兆円のうち、その半分以上が預金・現金で保有されていることから、全世代的に個人金融資産の「貯蓄から投資」へのシフトを大胆・抜本的に進めるために、NISAの拡充等の政策を本年末に策定する「資産所得倍増プラン」に盛り込みます。これを受けて年末に公表される与党の令和5年度税制改正大綱に具体的な拡充内容が示されることになります。

 個人投資家のための税制優遇制度であるNISAには、現在、3種類の制度があり、1)株式・投資信託等の配当・譲渡益等を対象に非課税保有期間5年間・年間非課税枠120万円の「一般NISA」が2014年1月に、2)未成年者を対象に非課税保有期間5年間・年間非課税枠80万円の「ジュニアNISA」が2016年4月に、3)特に少額からの長期・積立・分散投資を支援する制度として一定の投資信託を対象に非課税保有期間20年間・年間非課税枠40万円の「つみたてNISA」が2018年1月に、それぞれスタートし、以後たびたび制度が見直されてきました。

 NISAが大きく見直されたのが令和2年度税制改正で、2024年(令和6年)からはNISAを「つみたてNISA」と一般NISAを2階建てにし非課税枠を計122万円にした「新NISA」との年単位選択制にするとともに、利用実績が乏しかった「ジュニアNISA」を2023年末で終了することにしました。

2022.5.27 マイナポイント第2弾が6月30日からスタート

マイナンバーカードの取得者に対して、サービスや商品の購入などに利用できるポイントを、1人当たり最大2万円相当付与する「マイナポイント」の第2弾が6月30日からスタートします。マイナンバーカードの普及促進や消費喚起等が目的で、昨年11月19日に閣議決定した経済対策に実施が盛り込まれていました。

 マイナポイント第1弾では、マイナンバーカードを使って予約・申込を行い、選んだキャッシュレス決済サービス(〇〇Payや電子マネー、クレジットカードなど)でチャージや買い物をすると、そのサービスで利用金額の25%分(一人当たり5000円分が上限)のポイントがもらえました。

 第2弾では、1)マイナンバーカード取得者のうち、マイナポイント第1弾の未申込者(マイナンバーカードをこれから取得する者も含む)に最大5000円相当のポイント、2)健康保険証としての利用申込を行った者(既に利用申込みを行った者を含む)に7500円相当のポイント、3)公金受取口座の登録(マイナンバーと口座の紐付けを金融機関に申請・登録する制度)を行った者(既に登録を行った者を含む)に7500円相当のポイントを付与すします。健康保険証利用登録と公金受取口座登録の申込開始は6月30日からですが、カードの取得についてはすでに本年1月から申し込みを開始しています。

 ポイントの対象となるマイナンバーカードの申請期間は本年9月末まで。政府は、令和4年度末までにほぼ全国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目指しており、総務省では、申請促進のため、カード未取得者に対し、QRコード付きの交付申請書を7月頃から順次送付する予定です。

 マイナポイントの課税関係については、国税庁がホームページ上で公表しており、『マイナンバーカードを取得し、IDを設定した個人がキャッシュレス決済サービスにおいて「前払い」(いわゆるチャージ)などを行った際に付与されるものですので、「通常の商取引における値引き」とは認められず、その経済的利益は一時所得として所得税の課税対象となります』としたうえで、ただし、『一時所得は、所得金額の計算上、特別控除額50万円を控除することとされており、他の一時所得とされる所得との合計額が年間50万円を超えない限り、確定申告をする必要はありません』と説明しています。

2022.4.22 タワマン節税訴訟 国税の”伝家の宝刀”にお墨付き

実勢価格と相続税路線価のかい離を利用した「タワマン節税」の是非を巡って納税者と国税当局が争った裁判で、最高裁は4月19日、国税当局の言い分を全面的に認める判決を下しました。税法上は合法であっても当局が「税逃れ」とみなせば否認できる、いわゆる「総則6項」の明確な適用基準は示されず、今後は当局がより幅広い事案で総則6項を利用する可能性も否定できません。


 裁判で争われたのは、原告が相続で取得した高層マンションの相続税評価額の正当性です。故人は2棟のマンションを計14億円ほどで購入したが、高層階の実勢価格が反映されない相続税路線価では2棟の評価額は約3億円ほどでした。相続人が路線価に従い申告をしたところ、当局が「路線価による評価は適当ではない」として否認し、約3億円を追徴課税した事例です。こうした実勢価格と路線価のかい離を利用した節税策は「タワマン節税」と呼ばれ、多くの富裕層が相続税対策に活用してきましたが、近年では当局は積極的にこれらの税務処理を否認し、追徴課税を行っています。
 このとき当局が否認の根拠として使うのが、相続税の財産評価のルールを定めた財産評価基本通達の総則の第6項、いわゆる「総則6項」です。同項では、通達によって評価することが「著しく不適当」と認定できるケースに限り、「国税庁長官の指示を受けて評価する」と規定しています。評価ルール全体における例外規定とも呼べる内容で、この項目を適用すれば最終的には国税側の〝言い値〟が適用されることになります。「総則6項は伝家の宝刀」と言われるゆえんです。


 19日の判決で長嶺安政裁判長は、「路線価などによる画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合は(例外規定を用いる)合理的な理由がある」との判断を示しました。その上で、今回の事例では相続税の負担軽減を意図して不動産の購入や資金の借り入れが行われ、実際に相続税額がゼロになったことなどを指摘しました。「他の納税者との間に看過しがたい不均衡が生じ、租税負担の公平に反する」として、例外規定の適用を認めました。二審判決を覆す際に開かれることの多い弁論が3月に開かれたため、納税者の逆転勝訴の可能性もささやかれていましたが、ふたを開けてみれば当局の言い分を全面的に認めた二審判決をそのまま支持したかたちです。
 判決を受け、原告代理人の増田英敏弁護士らは同日、司法記者クラブで記者会見し、「最高裁が(総則6項適用の)基準を明示してくれることを期待したが、今回の判決は基準を定義したとは言えない。判決が確定したことで納税者が納税額を予見できないという問題が解決されないだけでなく、国税による恣意的な課税にブレーキがかからなくなる」と語りました。